第2回 日本における広島県の立ち位置2016年12月15日
2.1 人口、面積、老年人口比、県内総生産高、県民所得、預貯金額
広島県の総合的な実力は如何なものと考えられますか。もちろん、中国地方のトップランナーであり、国際的にもそこそこ知られ、教育レベルも高く、県民所得も上位に近いというイメージを持っていらっしゃるのでしょうか。これらについて、日本国内でのランキングを見て、改めて考えてみましょう。
1) 人口 286万人 (12位)・・・茨城県より低い(増減ゼロ)
2) 面積 8,479㎞2( 11位)、可住地面積 2,255㎞2(21位) 26.6%・・・山間地多い、産業への反映
3) 老年人口比 26%(30位)・・・島根32.7%、鳥取30%
全人口は全国で12位ですが、田舎の代表的な県としてよく言われる茨城県より少ないのは意外です。また、県全体の面積も11位でまずまずのように思われますが、可住地面積は21位であり、山間地が多い県でもあります。記憶に新しい豪雨災害などが発生しやすい場所でもあるかと思います。老年人口比は30位ですが、割合は26%であり、島根、鳥取などと大差はありません。
4) 県内総生産 11兆円(12位)・・・数字は良い 一人当たりでは
5) 県民所得 300万円(8位)・・・山口(295万円,10位)
6) 預貯金残高 1,529万円(27位)
県内総生産額をみますと、12位であり順当な地位を保っているようですが、1人当たりの額では如何だと思われますか。各人の所得で見ますと8位ですからまずまずですが、隣の山口県も10位につけています。産業が所得をどう伸ばすかは十分考えるべき課題であるでしょう。一方、預貯金残高は27位となっており、やや消費が多い県民性であり、老齢人口も多いといえそうです。
7) 車新規登録台数 7.5万台(12位)
8) 持ち家率 60%(38位)
車の新規登録台数は12位であり、地元に車の製造会社があることから推察できます。一方、持ち家率は38位となっていますが、転勤族が多いのか、住宅の形式を一戸建てにこだわらないような性格が県民感情にあるのでしょうか。
全体的に見て、広島県はあらゆる分野でそこそこの順位となっていると思われたでしょうか。つまり、生活をするのにまずまずといった感覚でお住みでしょうか。強い分野と弱い分野、特徴的な事柄や一段と順位を上げる努力などが必要な分野など、意外と明確になってきたのではありませんか。
2.2 大学の状況、医療施設、国際会議、基礎学力順位
教育、医療、文化的側面から、広島県の実力はどのように考えればよいでしょうか。県単位の順位を少し探ってみましょう。教育レベル、資産の持ち分、医療のインフラ、国際会議の開催頻度、大学の情報発信力など、比較するのに大切な項目があります。
客観的にみて、上の下程度でありたいと願われているのでしょうか。その下馬評は順当なものでしょうか。もっと高い順位の項目が多いと期待したのに、意外と低い内容のものもあります。県全体としてどのように取り組み改良していくかは、まさに県民の行動一つで決まるものです。真剣に考えなければならないときでしょう。
1) 大学数 21(在籍者数 61,000人)・・・中四国地区は少ない、拠点大学が欠如 夢、上昇志向はどこへ?
県全体で21大学という数は、日本国内全体で850大学とすれば若干少なく、まして広島県が他県より上位の県、教育県であると誇るならば、拠点大学(重点大学)が存在するのが待望されます。
国内では中四国地域のみ拠点大学(重点大学)がなく、いわゆるノーベル賞候補者が多くいる最高峰の学問所に欠けています。したがって、それに連なる後続の大学は決して高い水準とはなり得ず、学問における格差が広がる一方です。組織の集約がなぜなされないのでしょうか。井の中の蛙的な雰囲気が充満しているのでしょうか。
夢を抱いている若者にそれを実現できる場としての超一流の大学インフラ(教授陣、施設、研究の雰囲気など)を早急に提供すべき時に至っています。
もちろん近辺の企業が困難な課題を相談できる対応可能な組織が欲しいところです。
2) 全国学力テスト成績 学校施設充実度等
小中学生の学力を比較する(学力の到達度を計る)ものとして導入されている全国学力テストと呼ぶ試験があります。国語、数学などのある分野に限り、小学校のある学年、中学校のある学年に対し全国一斉に実施されます。この結果は広く知られ、秋田県が1位を占めるという結果が報告されています。結果は素直に認め、小中学生が今後の勉強に対する心構えをどうすればよいかと考えるきっかけとすればよいのではと思います。また、耐震構造の校舎に改良され安心して勉強にクラブ活動に打ち込めることも大切です。
3) 国際会議(50件/年) ・・・他都市と比べ、1桁少ない
学術インフラとも呼べるイベントとして、国際会議があります。これは定期的に種々の国が開催をし、一つの課題について議論を深め、解決の糸口を探るものです。開催都市はある分野に特化した経歴を持つ、あるいは突出した人材が いることが大切で、ホスト国としての条件を兼ね備えていることが大切です。
広島県は如何でしょう?国際会議の開催件数は50件(年当たり)程度であり、他都市と比べ桁が一つ低いように思えます。おそらく、文化的インフラの醸成が遅れているためでしょう。
4) 病院 224(11位)、人口10万人当たり7.79(19位)
生活インフラのうち、健康状態に直接関与するのが病院です。しっかりした信頼のおける病院があれば、安心して過ごすことが可能です。
広島県は11位ですから良い環境であるといえますが、人口当たりに換算すれば決して数が満足できるほど病院はありません。また、最重点病院といえるものが複数存在して初めて安心が得られます。高度医療を日常行っている大学病院などとの連携が一般の医療機関との間でスムースに行われているかは大変重要です。
5) 製造品出荷額 8.7兆円
(輸送用機械器具2兆円、鉄鋼1兆円、 一般機械器具1兆円、電子デバイス0.5兆円、情報通信0.5兆円、食料品0.5兆円)
輸出額を検討する場合、製造品(必ずしも工業製品でなくてもよい)の出荷額がいい目安になります。県として8.7兆円はまずまずの額ですが、人口当たりに換算したとき、如何でしょうか。
輸送用機械器具(例えば、完成品の車、部品の器具など)2兆円はかなりの数字を表しているようです。付随して、鉄鋼や一般機械器具などは県の産業構造をよく表しているものといえます。一方、電子デバイス、情報通信関連分野などの出荷額が大きいのも県の特徴でしょう。また、瀬戸内海の水産業、島嶼地域の果実など、地域の特徴がみられます。
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