第4回 大学改革の背景2017年02月15日

4.1 知識基盤社会を支える大学
21世紀は知識基盤社会である。その本質は何か、簡単に列挙してみよう。

1) 特質
 ① 知識に国境はなく、グローバル化が進む
 ②  知識は日進月歩(競争と技術革新が絶えず生まれる)
 ③  知識の急進展は旧来のパラダイムの転換に伴うことが多い
 ④  性別、年齢を問わず、参加することが促進される

2) それを支える高等教育の必要性
個人の人格の形成、社会、経済、文化の発展、振興、国際競争力の確保等の国家戦略の上でも極めて重要です。つまり、高等教育機関で訓練を受けた人材が世界を駆け巡って活躍する時代が到来したといえるでしょう。 
4.2 学部教育から大学院教育
教育改革による大学教育の実質化の中身は如何なものであろうか。
 臨時教育審議会、大学教育審議会、中央教育審議会の議論を継続審議
 H10.10.26 大学審議会答申:社会の要請、国際的評価
                                 
 1) 組織運営の活性化
   自己点検・評価      第3者評価  教員の流動化
   設置認可手続きの簡素化
 2) 高等教育の個性化
   カリキュラム編成の弾力化  授業の質的向上
   責任ある授業運営と厳格な成績評価
 3) 教育研究の高度化
   大学院の質的、量的整備   制度の弾力化
   専門職大学院制度の創設
4.3 望まれる人材育成
工業界にとり、一定の枠の人数を新入社員として獲得することが望まれています。つまり、あるレベルを持つ人材が工業界で活躍することが、企業にとり最も望ましいシステムであるからです。自由主義社会では、コストと利益の関係が相反の形ですから、能力の高い技術者がより多くの高いレベルの仕事をこなしてくれれば利益が上がることが当然生じると思われます。そこで、文部科学省が考えている必要な能力を持つ学部卒業者および経済産業省が考えている企業にとり必要な能力とは何か、について広く周知をしています。もちろん、大学側は一層基礎学問に打ち込むような姿勢を望んでいます。

1) 学士力:2007.9中教審大学分科会
 ① 専門分野の基本知識
 ②  読み、書き、話す(日本語、外国語)
 ③  協調性、倫理観
 ④  問題解決の創造的思考力
2) 社会人基礎力:2007経済産業省
 ① 前に踏み出す力 Action
 ② 考え抜く力 Thinking
 ③ チームで働く力Team Work

特に理系に求められる能力として、以下のように言われることが多い。
 学士力+(他分野の知識、理論と現場の繋がり教育、チームで取り組む)
 
4.4 大学院教育の実質化
1) 国際的に魅力ある大学院
 ① 制度の整備と量的充実:院生26万人(人口1000人につき1.8人)
 ② 研究レベル   :論文被引用回数8%(世界4位)
 ③ 研究を通した人材育成:基礎学力と論文作成の重要性 
2) 大学院教育の実質化:知識基盤社会の人材養成の中核へ
 ① 課程性大学院の研究指導
 ② 若手教員の環境改善
 ③ 産業界との連携強化
 ④ 国際的通用性

我が国の高等教育の将来像 科学技術基本計画(第1次~第5次)
 教育再生会議報告 大学院教育振興施策要綱(H18~H22,H23~H27)

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  • キーワード解説 『大学教育の実質化』

    人格の形成、社会、経済、文化の発展・振興、国際競争力の確保は極めて重要です。高等教育機関の役割がそこにあり、教育改革を通して、大学教育の実質化が図られます。そこでは、望まれる人材の育成が主目的ですが、他方大学は一層学問に打ち込む姿勢の研究者の輩出を願っています。
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