第5回 工科系大学は何をなすべきか2017年03月15日

5.1 地方大学工学部の今(現状認識)
地方に存在する工科系の大学(工学部)が役割を果たすには、大まかに見ても以下の3点が考慮されなければなりません。すなわち、1)取り組みにあたり、精神あるいは憲章といった行動の規範が最も大切です。次に、2)組織としての全体的な拾い上げ、それをカバーしながら行動することが求められます。一方、組織には強みもあり、これをうまくまとめ上げて目標に向かい進めば、思った以上の成果につながることもままあると思います。

 1)取り組みには、精神、憲章などの行動規範が必要です。
  ① 教育   (知識から知恵へ実践する)
  ②  研究   (質・量ともに高い、ニーズは地域から掘り出す)
  ③  運営   (意識改革、企画力で前進)
  ④  地域貢献 (地域から熱望される大学、信頼を得る)
  ⑤  職場   (働き甲斐があり、明るい夢、子々孫々承継)

 2)弱点を認め、以下の3点に絞り考えてみましょう。
  ① 上昇志向希薄   (現状で満足、煩わしいことを避ける)
  ② 無関心、連携の欠如(自分には特にメリットがない)
  ③ 危機感の欠如   (そう悪くはないと思い込んでいる)

 3)強みを生かし、総力をプラスに結集しましょう。
  ① 充実した教育プログラムによる戦略が打てる
  ② ある分野に突出した研究レベル 
  ③ 産学連携の評価
  ④ 優秀な教職員の集団
5.2 どう改革するか(挑戦し道を開く)
1)何を教育するか、またどういうやり方があるか
 従来(20世紀末まで):大量生産時代の教育方法は効率よく内容を理解
  ① 知識の詰め込み(経験に頼る):技術の一方向性
  ② 安いコストで大量生産(質より消費の拡大を狙う)

今 (21世紀前半):何が最適であるか、規範は何か、まさに混沌時代
  ① 混沌カオス(不透明、情報の選択)
  ② 多品種少量生産(必要な量を限定して、必要な時刻に)
 
知の創造 ・・・3V(必要な力は何か)
  ① 志   = 覚悟(Vision)
  ② 攻め = 冒険(Venture)
  ③ 喜び = 成功体験(Victory)

 2)具体的には、何を目標にして人材を養成するか
  ① 教育  (知の創造、ディベート講義、双方向授業)
  ② 研究  (シーズは地域の特色から、成果はグローバルに)
  ③ 社会連携(人材の輩出)
5.3 大学の機能(何を目指すか)
大学工学部に必要な機能は何であろうか。最終的に保証する学問の質、必要な人材の輩出、組織が常にうまく回転していること、といっていいだろう。
 結果として、地域から見れば、あらゆる分野における学問の拠点として信頼を受ける組織とならなければならない。
 
1)知的ストックの形成(高等教育の質の確保)
  ① 基盤技術の発掘、継承  何を質として守るか
  ② 各大学の役割分担    わが組織は何が強みか
  ③ 地域性            地域から重宝がられる
 
2)学術研究の推進(大学の重要な役割)
  ① 基盤技術と先進技術   基本は基盤技術、特化した分野は先進技術
  ② 高度専門技術者の養成  技術の専門家
  ③ 社会人の再教育      基礎を学び直す
  ④ 国際貢献          他国との協調が可能ならば

 3)21世紀の大学に求められるもの
  ① 教育研究拠点の形成   特徴のある分野の拠点として
  ② 学部教育の多様性    社会で活躍する人材は多様性を持つこと
  ③ 教育内容の認証評価   教育レベルの保証
5.4 教育の実質化、教員の役割
一つの大きな組織が機能を十分に発揮するには、組織がうまく回っていることであろう。大学であれば、人材の育成が最終目標であるから、そのための組織の動きに潤滑油を注ぐことが大切であろう。学部組織、大学院組織、教員組織を上手くネットワーク化させて、機能を果たすことができれば素晴らしいことになろう。

 1)学部教育の実質化
 生きた教材(具体的な)による基礎学問の徹底;産学連携による演習課題
                                 
 2)大学院教育の実質化
 先進事例を体系的に分類し、基礎学問の組合せから成り立っていることを認識する

 3)教員の役割
  ① 研究者であり、教育者である(課題を与え、指導する能力)
  ② いつも学問している(学問体系の把握、知識の厳密な伝達)
  ③ コーディネイトできる説得力
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  • キーワード解説 『教育を通して完成する』

    工科系大学に限定して、大学の機能(目指すところ)を考えてみる。学問の質の保証、必要な人材の輩出、組織がうまく回転する、に尽きるだろう。人材の育成に注目すれば、知的ストックの形成、学術研究の推進、多様性、教育の実質化があげられる。これらを総合し教育という中身を通して、区切りをつける(完成する)。
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