第6回 まとめ(教育を通して完成する)2017年04月15日

完成する(終える、区切りをつける)
事柄が完成する、あるいは一区切りがつくことは、大変嬉しくもあり、目出度いことでもあります。節目の時期や行事、年月の移り変わりなど、様々な事柄が一斉に変化します。
                    
節目とは、学問の区切りである卒業、昔からのならいである節分や大晦日、働く年代を過ぎる定年退職など、いろいろな場面が推測されます。

小林秀雄は還暦という区切りについて、円熟に必要な忍耐であり、時の絶対的歩みへの敬意である、と語っています。深みのある言葉です。

形が出来上がるのには莫大なエネルギーが必要であり、個々のパーツがそれぞれ完成していなければならなりません。すると、人間の教育を通した成長を考えたとき、到底完成には到達し得ないような気がしてきます。人間をまっとうに育てるためには、教育の重要性は昔から叫ばれてきましたが、個々の技量を押し量るとき、読み、書き、そろばんの中にすべて含んでおり、それからみれば完成することがあるといっても良いようにも思われます。なお、話が若干それることですが、あえて大切な事柄ですから、ここで述べておきます。それは、記憶力の鍛錬は極めて大切なことであり、日頃の心掛けが大切であるという内容の事柄です。

ノーベル化学賞の故福井謙一博士は、物事において確かな記憶が大切であり、その連続が偉大な業績に繋がっていくと言われています。そこから普段の訓練においてしっかりと心掛けておきなさい、というような話を新聞記事のインタビュー欄で述べていらっしゃいました。
一方、航空工学の大家である故谷一郎東大名誉教授は、専門分野に関する業績について、何時、誰が、何を、どの雑誌に発表したか、について驚くほどの記憶力で通常の会話の中で披露されていたことを思い出します。反対に、寺田寅彦の弟子であった故中谷宇吉郎博士は、お弟子さんとの研究の議論においては、備忘録ノートを常に携えて事項を確かめつつ議論を先導されていた、と随筆本の中で何度か文章に出くわしたことを思い出します。

上述した事柄は、自己の再発見に繋がり、さらに新しい表現が生まれることに結び付くようです。これは、次の目標にとりかかるチャンスを日頃から蓄えていることに他ならないと思います。
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