第7回 一休みの閑話2017年05月15日

 
 ややこしい話が続いたので、ここで少し雑談としましょう。この種の仕事の場における、時々のエピソードの一部を聞いて下さい。
 まず、筆者が長く奉職した新交通システム(ゴムタイヤの小型電車)会社でのこと。
【その1】
 我が国には、数路線の新交通システムがありますが、「開業時には人が運転し、途中から無人運転に変更した」のはここが唯一ケースです。そこで、移行期には有人電車と無人電車が混在する時期がありました。途中まで運転してきた乗務員が中間駅で退出し、その後、運転席が空のまま電車が走りだすと、乗客が一瞬キョトンとすることがありました。
【その2】
 この電車は雪が苦手です。実践的な雪対策が未習熟の最初の2月の土曜日のこと。夜が更けても降雪が続きました。一般の鉄道の例に倣い、終電以降も適宜電車を走行させました。しかしこれが仇となり、翌朝にはゴムタイヤで踏み固めた積雪はコンクリートの様に凍結。快晴の日曜日は、終日運休の憂き目を見ました。これで、雪対策ノウハウの一つを学びました。
【その3】
 テレビ局から、ドラマの舞台としての電車活用の依頼が多数ありました。海のそばを走る眺望の良さゆえでしょうか。会社としては積極的に応じました。その結果は、近隣は勿論、九州の知人から反響もあり、テレビ効果の大きさを実感しました。また、これは施設使用料収入を得られる、割安なPR手法でした。
【その4】
 「赤字」とは何か?この単純な質問の答えが概して曖昧なのです。公共的事業に関わりのある人々にとっては、正確な理解はとりわけ大切な筈ですが。例えばこんな会話がありました。

先方 「貴社は赤字が大きくて、自治体の大きな負担になっていますね。」
当方 「そうであれば、残念なことと思います。ところで、赤字には様々な種類があります。営業赤字、税引き後赤字、減価償却前赤字、累積赤字など。」
先方 「その通りですね。」
当方 「恐縮ですが、私共の会社のどの赤字が、どのくらいあるので、自治体にどのような負担となっているのか、教えて頂けませんでしょうか。」

この会話は、ここで終わりになってしまいました。
 
 次は、筆者が実業界の者である故に講師としてお手伝いした、総務省・自治大学校その他の地方公務員向け研修所、並びに、一部の公立大学や私立大学でのことです。
【その5】
 ある地方公務員向け研修所での話です。研修所側の要請により演習形式を実施したことがありました。受講生20名( 課長補佐、係長、主幹など、働き盛りの方々) を4グループに分けました。課題1「具体的な事業と企業についての対策」と、課題2「公共サービスのあり方、並びに住民の理解を得る方法」につき、各グループ内で検討し回答を固め発表します。他のグループが質問し討論します。順次これを進め、最後に講師がまとめを行います。
 自画自賛かもしれませんが、期待以上の効果的な企画になりました。一つ確実なことは、若い現場の方々の熱のこもった意見と討論は、私にとり大変勉強になったことです。講師の私が、最大の学習を得た受講生だと思います。
【その6】
 一般の大学生の方々には、各年度の冒頭に「ノブレス・オブリジェ(noblesse oblige)」の話をします。今日的な意味は、「地位、権力、その他に恵まれた立場にある者は、立場相応の責任を果たす義務がある」ことでありましょうか。昨今の我が国で最も必要な心得の一つと思います。解説の後で、学生たちに「自分がその立場と思う人は?」と聞くと、ほとんど「否」の反応です。それに対して、「大学で学べることは、まさしく恵まれた立場。大いに勉強して世に尽くす義務があると自覚して下さい。」と言います。
 なお、遠い自らの学生時代を振り返れば、「よく言うよ」との苦笑を禁じられませんが。一方、目を国外にむければ、異なる見方もありましょう。
 
 雑談にお付き合い頂き、ありがとうございました。
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